耳寄りなお役立ち知識 第11回「卒婚」
登録スタッフの皆様
紫陽花が大輪の花を咲かせるころとなりましたが、いかがお過ごしですか。
Human Bankでは、皆様のお役に立つ 様々な情報を提供できればと思っております。
今回のテーマは「卒婚」です。
「もう、いい加減にしろ!」
「この言葉がきっかけで、私は卒婚を考え始めました。」
S子(45歳)さんは続けます。「夫の不倫を一回は許そうしたけれど、どうしても、その時の悲しさや辛さ、悔しさがフラッシュバックして、自然に笑えなくなってしまいました。夫は時々不機嫌になったり、不安になったりする私をしつこいと感じ、ある日、もういい加減にしろ!」と。
でも、お金のこと、親のこと、子供のこといろいろ考えて、私には離婚のハードルが高い。
そこで、卒婚なら・・・・私にもできるかも。とS子さんは考えました。
1 卒婚とは
「婚姻している夫婦が法的な婚姻関係は継続しつつ、互いに必要以上に干渉することなく、自由を認め合って、夫婦別々の人生を歩むこと。」を言います。別居する夫婦もいますが、同居のまま始める場合もあります。
2 卒婚のきっかけ
・夫の定年退職や転職
・子育てがひと段落した
・相互の干渉がウザイと思うようになってきた
3 卒婚のメリット・デメリット
(1)メリット
・夫や妻に「こうすべき」という過度の期待がなくなる
・相手の遺産を相続できる
・戸籍も変わらないので、面倒な手続きが要らない
・仮面夫婦とも違うので、うまくいってるふりをしなくてもよい
・親に無用な心配をかけずに済む
・子供たちへの影響も離婚よりかなり少ない
(2)デメリット
・他に好きな人ができたら、不貞行為となってしまう可能性も
・生活費が足りなくなる場合も
・離婚に至ってしまう場合もある
4 卒婚の対策
(1)生活費
法律上、扶養義務はありますが、自由を得る代わりにこれまで通りに生活費を得られるケースは少なくなるケースが多いでしょう。
自分の貯金や職業などをしっかり確保し卒婚してもゆとりある生活ができるように準備を進めてください。
同居での卒婚のケースでは、家事をこれまで通りにする代わりに報酬を夫から得る方法もあります。
また、夫の方から卒婚を望んでいるケースではこれまで通りに婚姻費用をもらえる可能性が高いです。
卒婚しても生活費をもらえることをしっかり取り決めましょう!
(2)介護
お互いが病気や怪我などがあった場合には、どうするかを取り決めておければ安心できます。
(3)恋人
お互いに恋人は自由に作っても良いと合意すれば、不貞行為で慰謝料請求なんてことはなくなるでしょう。
(4)冠婚葬祭
お互いの冠婚葬祭は参加するかしないかも取り決めておきましょう。
以上、卒婚をはじめる前に取り決めた事項を「卒婚の合意書」として、書面に残しておけば、後々の不要なトラブルを回避することができ、安心して充実した卒婚ライフが送れます。
取り決めの内容はそれぞれの夫婦で異なります。合意書作成についてはご相談ください。
藤田みき
行政書士/法務博士(専門職)
カリーニョ行政書士事務所 | 取扱業務 | 離婚・相続 (carinho-office.net)